《概要》
宮崎市・ニシタチに位置する洋食店。
「チキン南蛮の発祥」が宮崎県であることは広く知られているが、多くのご当地グルメがそうであるように、その詳細な記録が完全に残されているわけではない。
「チキン南蛮の歴史概略」
昭和30年代、延岡市の洋食店「ロンドン」の賄い料理がルーツとされる。鶏むね肉を揚げて甘酢に漬けたのが始まりだ。「直ちゃん」や「おぐら」の創業者が「ロンドン」で修行を積み、それぞれ「タルタルソースなし」と「あり」の2大流派へと発展させ、宮崎のソウルフードとして全国へ広まった。
「爛漫(らんまん)の歴史」
1978年創業。創業者はかつて「おぐら」や「ロンドン」に在籍し、チキン南蛮を店の看板メニューへと昇華させた立役者の一人である。いわば「チキン南蛮の育ての親」と称すべき存在だろう。
公式Instagramには「宮崎市 洋食店 since1978」「丸鶏からこだわったチキン南蛮と昭和の洋食」と綴られており、その矜持が伺える。
《最寄駅・立地》
宮崎駅。場所は夜の繁華街「ニシタチ」の一角にある。
ランチタイムにこのエリアで食事をすることは稀だが、昼間のニシタチは夜の喧騒が嘘のような静寂に包まれている。だが、この店の前だけは別だ。開店11:30に合わせて向かうと既に4組目。丁寧な仕事ゆえ回転はゆっくりだが、なんとか一巡目で入店できた。
《外観・店内》

レンガ造りに半円の窓。外観からも正統派の洋食店であることが伝わってくる。

店内は、コック帽を被った料理人が腕を振るう、寡黙で落ち着いた空間だ。ニシタチの雰囲気とは真逆の、高級感漂う昭和の空気が流れる。カウンター席がメインで、席の間隔はゆったりと確保されている。
《メニューとこだわり》


メニューには「正統派ムネ肉」と「野生派モモ肉」の2種類が並ぶ。

特筆すべきは、現在では県内で唯一といわれる「丸鶏から捌く」スタイルだ。1.3kgほどの若鶏を仕入れ、店内で丁寧に捌く。黎明期を知るマスターの「誕生当時の味を守る」というこだわりにより、胸肉は特製チキン南蛮に、もも肉はセットメニューに使用される。
自家製タルタルソースも、土台のマヨネーズ(卵、マスタード、油、酢)から手作りし、新鮮な野菜を絞って加えるという徹底ぶりだ。
《注文商品》

• スペシャルコンビ(ライス付き) ¥1,470
もも肉のチキン南蛮とハンバーグがセットになった「最強タッグ」。ジューシーなもも肉と、肉汁溢れるハンバーグに継ぎ足しのデミグラスソース。初訪問の方には「名刺代わり」となる一皿。




• 特製チキン南蛮(ライス付き) ¥1,400
「ロンドン」当時のレシピを忠実に守る、胸肉の逸品。丸鶏から捌くため、胸肉の提供数は自ずと限定される。新鮮で柔らかく、驚くほどジューシーな「本物の味」がここにある。

• ご飯
ふっくらと炊き上げられ、もっちりと粘り強い。噛むほどに甘みが広がる、素晴らしい炊き加減。
《備考・注意書き》

店頭には「タルタルソースなし/別添えでの注文はお断り」との掲示がある。
鶏肉、南蛮酢、タルタルソース、そのすべてが一体となって完成する「チキン南蛮」という料理への敬意、そしてお店の誇りの現れだ。この一体感を愛せない者は、この店でチキン南蛮を頼むべきではないだろう。
宮崎市内に宿泊するなら、少し時間に余裕を持って、開店一番にこの名店の列に並ぶ価値は十分にある。